からふる

コラムタイトル

街歩き(景観と色彩)

伊勢街道沿いに商人館が並ぶ

木綿問屋旧長谷川邸の表口

嶋木綿で栄えた商都松阪    ~三重県松阪市伊勢街道から城址へ~

松阪城址から水路に沿って下り、阪内川と伊勢街道(参宮道)が交叉する辺りに松阪商人の繁栄ぶりを今に留める数少ない遺構松阪商人館がある。江戸一番の紙問屋として財をなした小津清左衛門の屋敷跡で、三井家・長谷川家等とともに、いち早く江戸に出店を構え、財をなした松阪屈指の豪商の館跡である。道沿いには、景観に配慮し、格子や庇、幕板に往時の面影を残す建家が並び、数軒隔てて三井家発祥の地も残る。三井家は「越後屋」の屋号で呉服商を営み、その商才に井原西鶴は「日本永代蔵」で「大商人の手本になるべし」と称賛したという。それが今の「三越」に。更には金融や貿易を通して三井財閥の基礎を作り上げた。その三井も松阪商人であった。そんな歴史も知らず、市内のポケットパークに三越の店頭に見るライオン像が設置してあるのに?!…。三井家の屋号が「越後屋」からなるほどと合点がいった。
途中、松阪もめん手織りセンターに寄り道し、松阪木綿に魅了されたら、江戸一の木綿問屋長谷川邸に。まず、表口の設えに目を奪われる。黒漆喰の蔵、華奢に過ぎない梲(うだつ)、幕板や格子戸、朱泥を混ぜた漆喰壁と板張りの塀、手入れの行き届いた見越しの松。江戸時代の繁栄ぶりを偲ばせるかのように今も堂々たる威容をみせる。今は寄贈を受けた松阪市が管理し、土日だけ一般公開している。中に足を踏み入れると外からは伺い知れない黒漆喰の土蔵がさらに3棟。回遊式の広大な庭と客をもてなす中庭。呉服や生地を保管する蔵にはいろいろな工夫が施されているが、意匠も扉の内側は鮮やかな赤錆色、その奥に眩いばかりに白い漆喰の引き違い戸が…。
 他にも北海道の名付け親松浦武四郎の邸宅跡や記念館、昭和初期の名映画監督小津安二郎記念館…。 (pdfも是非ご覧ください)

嶋木綿で栄えた商都松阪.pdf

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色も色いろ

山道にひっそり佇むギンリョウソウ

ウスギムヨウラン(左)とイチヤクソウ(右)

色も色いろ 第74話 光合成しない腐生植物ギンリョウソウ

久しぶりに南信の名峰大川入山を訪れた(山歩№76掲載)。サラサドウダンやレンゲツツジに目を奪われ、見過ごしそうにひっそりと、生い茂るクマザサとマイヅルソウの群生する中に白く透き通るような花が…。ギンリョウソウである。地面からいきなり花茎をだし、全く色素を持たない半透明な独特の容姿からユウレイタケとも呼ばれる。葉緑素を持つ葉がないため、光合成を行わず、地中の菌類と共生して樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生活している。全く色素を持たないと書いたが、花の中心は青紫色を呈し、アップで写真に納まると中々魅力的で、"銀竜草"の名に合点がいく。
ところで、何故光合成する葉は緑なのか?嘗ては、①地上に植物が登場した当時は地球の活動が活発で、火山灰の影響もあり、地上に充分光が届かず、比較的届きやすい長波長の光を効率的に利用するためとか、②炭酸同化作用に必要な二酸化炭素を気孔から取り入れる際に水分も気孔から出て行ってしまうため、日中の暑い時間帯を避け、朝夕の涼しい時間帯(長波長の光が多い)に光合成を行う為とも云われた。最近の研究では、中波長の光を反射することで、葉の内部あるいは裏側まで光が届き、葉全体で効率よく光合成が可能となる仕組みという説が登場。そうなると、現在主流の中波長を含まない植物育成用LED照明も見直されるのかも知れない。
同様な腐生植物にはムヨウランがある。近くの植物公園内にはエンシュウムヨウラン、ウスギムヨウランの自生が見られる。やはり地中から花茎を出して咲く。小さく目立たないため、そこにあると知らされなければ、見過ごしそうな花だ。よく見ると花の姿は確かにランだ。これも上記同様菌類と共生して栄養分を得ている。ちゃんと緑の葉を持った植物でも種子から発芽した当初は同様に育つものにランの仲間やイチヤクソウの仲間があるという。ギンリョウソウも嘗てはイチヤクソウ科(現在はツツジ科)に分類されていたというから、どこか共通するのだろう。

第74話 光合成しない腐生植物ギンリョウソウ.pdf

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山歩(さんぽ)



愛らしいサラサドウダンに魅せられて

山歩№76愛らしいサラサドウダンに魅せられて  ~長野県下伊那郡阿智村 大川入山~

尾根道を彩るマイヅルソウの群生に出会いに、久しぶりに大川入山に出かけた。二度寝をしてしまい、登山口に着いたのは9時半過ぎ。昼までに行けるところまでと…。
5月初旬にはイワウチワに覆われる枝尾根に出るとマイヅルソウが現れ始める。ユキザサやチゴユリも姿を見せ、早速デジカメが忙しい。主稜線にとりつくと明るい新緑の林。南アルプスは黄砂の所為かシルエットが霞んで見えるだけ。代わりにベニドウダンやツリガネツツジ、サラサドウダンとベル状の花がそこかしこに咲き誇り、樹下には鮮やかなレンゲツツジも。まさにツツジ類の競艶だ。初めて出会うサラサドウダンが愛らしい。
足元にはマイヅルソウの群生がどこまでも続く。帰路、ふとヒトハランが目に留まった。ここで出会うのは、何年ぶりだろう。姿を収めようとデジカメと格闘した。
2018年6月1日掲載(2018年5月25日撮影)

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